2017-04

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その言葉は、おかしいか?

   
 ファストフード店やコンビニなどでテイクアウト・買い物したハンバーガー、フライドポテト、肉まん等々を食べながら街中を歩くとする・・・そんな振る舞いを、昔は「食べ歩きとは、お行儀の悪いこと!」と評した。今の時代でももちろん「行儀の悪いこと」と受け止められるが、しかし、問題は、これを「食べ歩き」と表現するか、それとも「歩き食べ」と表現するかである・・・でも、後者のような言い方は、やはり、しないかな。   
   
 雑誌記事などのタイトルとして「金沢の街、食べ歩き」、場合によっては洒落で「・・・食べある記」などのものを目にするように、あちこちの店の料理などを食べて回ることをこそ「食べ歩き」というのであって、上のように「食べながら歩く」ことについては「食べ歩き」とは言わないとの考え方もあるか・・・国語辞典など見ているとそのようにも思える・・・「飲み歩き」もまた普通は「はしご酒すること」をさし、テイクアウトのコーヒー片手に街を歩くことを意味したりはしないし。  
   
 「歩きスマホは危険です」という。「歩きスマホ」とは「歩きながらスマホをいじる・それに見入ること」なのか、それとも「スマホをいじる・それに見入ることをしながら歩くこと」なのか・・・どちらでもいいか(笑)。   
   
 「スマホ歩き」と言わないのは何故なのか? これは、「食べながら歩くこと」を「食べ歩き」とは言わず、敢えて言うなら「歩き食べ」とすべきことに通じるのか。   
   
 クルマの運転をしながらスマホをいじるなどするのは、上の例からすると「運転スマホ」と呼ぶことになるのだろうか。しかし、「スマホ運転」と言いたいような気もするが、このように表現すると、スマホをカーナビ的に利用しながら運転することを意味しそうにも思える。   
   
   
 「もずく」にちょっと酢を垂らして、あとは好みで醤油を加えるなどして食べる・・・この、酢の垂らされた「もずく」について、居酒屋などのメニューでは「もずく酢」と表記している。   
 筆者などは「酢もずく」と呼びたいのではあるが。しかし、「酢ダコ」という品があって、これはそれなりの日数にわたって酢漬け状態においたものを意味する。こういうのと違って、客に提供する直前に酢を加えた「もずく」について「酢もずく」と呼ぶのはきっと適当でなく、やはり「もずく酢」とすべきなのだろうか。   
 牡蠣(カキ)については、しかし、「牡蠣酢」と「酢牡蠣」との、両方の表記があるように見受ける。   
   
   
 「焼き魚」という。「焼きとり」があり、「焼き豚」、「焼き芋」などがある。   
   
 「煮魚」があり、「ボイル帆立」などがある。トンカツをさらに卵とじして煮たものを「煮カツ」と呼ぶ。   
   
 しかるに、山形県の人は例の料理を「煮芋」と言わず「芋煮」と呼ぶ・・・おかしくないか?   
 理由として想像されることのひとつは、芋そのものに視点を向けているわけでなく、「芋を煮る行為」、「芋を煮るイベント・集い」の呼び名がいつの間にか料理の名前としても定着してしまったというものではなかろうか。   
 あるいは、2つめの理由としては、当初は芋が主役の「芋料理」として受け止められていなかったのかも知れない(いや、今日でもなお?)、どうだろうか。オールシーズン、いつでもありうる肉の煮物について、秋などに芋を加えるときには「肉の、芋入り煮」くらいの意味合いで略して「芋煮」と呼ばれるようになったとか。いろいろの魚についての「生姜煮」・「塩焼き」・「西京焼き」、豚肉の「生姜焼き」などあるように、また、「南蛮煮」、「甘露煮」、「朴葉焼き」などというものがあるように、「何を添える・加える」、「どんなスタイルにする」ということの表現として「○○煮」・「○○焼き」などがあるではないか。   
 ま、この種のことは郷土料理の歴史みたいなことを記した本でも読まないと真実は分からないが。   
   
   
   
 ・・・・・・・・・・・・・・・   
   
   
 簿記・会計に関しては「借方」、「貸方」という言葉がある。ふつうはそれぞれ「かりかた」、「かしかた」と読む。   
   
 出来上がった貸借対照表の左側・・・これは「借方」なのであるが、そこには例えば「預金」とか「売掛金(商品代金などの債権)」、「貸付金」とかの科目と金額が並んでいる。   
 対して右側は「貸方」で、そこには、「買掛金(仕入れ代金などの債務)」や「借入金」とかが並ぶ。   
   
 で、「借方」という語から「借りる」というイメージを受けてしまうせいであろう、そこに預金や売掛金や貸付金、土地建物やらの財産・債権の類が並ぶことに「ちぐはぐ」・不整合・矛盾のようなものを覚えてしまうということを言う人がいる。   
 他方、「貸方」には借入金その他の債務が並んでおり・・・これまた「おかしいじゃないか」ということになる。   
   
 きちんと最初から簿記を学んでくれればよいのであるが、人それぞれ、ほかに色々と優先して学ばねばならないことがある/あったわけだから、致し方あるまい。   
   
   
 大昔だって、財産家や商人などをはじめ「誰かにカネを貸した」、「誰かにツケで品物を売った」ということがあれば、それを記録しておいたこと当然である。Aさんに幾ら、Bさんに幾ら・・・等々の債権を有することになる。   
 Aさん、Bさんらの名前の並んだリストなり帳面綴りなりにタイトルをつけるとすればどうなるか・・・現代の日本人だと「貸付先」などと言い表すことを先ず思いつくかも知れないけれども、大昔のヨーロッパの人たちは「当方に対して“借り”をつくっている者」と表現したようである。英語では "Debtor" となる。   
 逆に、「誰かからカネを借りた」等の場合、その相手については「当方に対して“貸し”をつくっている者」ということになる。英語では "Creditor" となる。   
   
 さて、日本では「・・・する人」、「・・・の役」の意味で「○○方(かた)」という言い方がある。親がわりの人・親分的な人を「親方」、能では「シテ方」、「ワキ方」の言葉があり、また、土木方面の仕事をする人を「土方」(これを差別語とは思っていないのでここで使わせてもらうが)と呼ぶ。   
 すると、さきほどの、「当方に対して“借り”をつくっている者」= "Debtor" については「借方」という訳語をあてることが出来るのである。   
 「当方に対して“貸し”をつくっている者」= "Creditor" については「貸方」。   
   
 よって、貸借対照表の左側、「借方」のもとに売掛金・貸付金など並ぶのはおかしくない、当然であるし、右側の「貸方」の中に買掛金・借入金などあるのも同様。   
   
 大昔、もともとは債権と債務とを左右に一覧で並べておいてその差額を一種の「正味財産」のように把握していたであろうが、どうせなら更に、持っている現金や預金、土地、建物なども借方の中に含めて並べれば「もっと正確な、正味財産の全容」が分かるようになる・・・実際、今日の簿記、会計、各種財務諸表はそのようになっている・・・と同時に、「借方」・「貸方」の語は、「借」・「貸」からイメージするような、債権債務に限定した意味合いよりもっと広いものを意味するようになっている。   
 借り・貸しのイメージを払拭する意味でも「借方」・「貸方」を、何だか意味がぼやけてしまう「シャクホウ」・「タイホウ」と呼ぶのがよいと言う人が昔からいるが、このような呼び方は、しかし、いっこうに定着しない・・・このように読む人がいると、多くの企業の現場ではむしろ戸惑われることであろう。   
   
   
   
 預金関係の仕訳データ・出納帳・総勘定元帳などの社内帳簿と、銀行の通帳などとを「にらめっこ」しながら、「銀行の通帳では預金の減少額は左側に記入され、増加額は右側に記入され、これは社内の帳簿の左右と逆で、おかしい」と、不満げに騒ぐ新人がいた時代もあったが・・・いや、今日でもいるかも知れない。   
 銀行にとって、預金を受け入れることは、現金の増加であると同時に、預金者に対しての債務という点でも増加なのである。銀行側の「受け入れ預金」科目の元帳では増加分を貸方記入(右側記入)することになる。預金者に対して発行されている通帳はその元帳の写しとして同じデータが吐き出されて(印字されて)いるものだから、やはり預金の増加は右側に印字されるのである。   
 「でも、預金者、特に帳簿管理している企業関係・商店経営者らの預金者にとっては、預金の増加は左側に印字してくれると、帳簿への転記、帳簿との照合がしやすい」との意見はあろう・・・しかし、ま、銀行は「預金者の便利など知ったことか」というところではあるまいか・・・どうなのだろう。通帳での左右表記を変更してくれというリクエストについて、「なるほど、それもCS=顧客満足度を高めることになるな」ということで仮に受け入れられても、銀行の勘定系システムの一部手直しに伴ってどのようなアクシデントが発生するか分からないし、ま、現状でよいではないか。   
 なお、ゆうちょ銀行などの通帳では、預金増は左側に印字される。   
   

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