2017-04

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いま明らかになる名曲誕生秘話(?)



   
 めでたきは 松竹梅に 鶴に亀   
   
 竹と鶴との 琥珀や愛(め)でたき   
   
   
   
 このところ、NHKのテレビ・ドラマの影響でウィスキー人気が高まっているようである。で、モノによっては店頭で品薄になっていることもあるようで、個人的には(自分としては)一概に喜べなかったりもするのである。   
   
   
   
 ・・・・・・・・・・・   
   
   
 さて・・・翻訳するのに時間がかかってしまったが、外国の或る作曲家がその友人に宛てて書いた手紙を以下に紹介しよう:   
   
   
   
「   
   
 わたしのこの手紙が日本からのものであるから、君を驚かせてしまったかも知れないね。   
 そう、今、わたしは一時的にアメリカを離れて日本を旅している最中なのだ。   
   
 なぜそうしているかって? それを説明しておこう。  
 わたしの尊敬するあの先生も、そして、わたし自身もまた作曲するに至ったそれぞれの舞曲集の評判と人気を思い返してくれ給え。エキゾチズムとは何だと、君は思う? 或る音楽や文化、それらに内包される諸要素は、或る人にとってはごく普通で馴染み深いものであり、かつまた自分にとってのアイデンティティの一部となりうる。しかし、他の人、他の民族にとってはエキゾチックに感じられたりもしうる。この、エキゾチズムの相対性という問題と面白さについては、ずっとわたしの頭から離れずにいたのだ。   
   
 アメリカの地で、日本からのラジオ放送を耳にすることがあった。歌謡曲が流れていた。それは「2億4千万の瞳」みたいなタイトルの歌だった。その歌詞に「エキゾチック」という言葉があり、わたしは、ひらめくように日本への旅行を決めたのだった。   
   
 日本へは大阪から入国した。これは正解だった。大阪、兵庫、京都、奈良、三重、和歌山その他をめぐり、熊野やその他の自然、また、人々の風習に触れ、大きな刺激を受けた。次に九州は福岡、熊本などを訪れ、そうしていよいよ東京へと向かった。しかし、結局は東京は肌に合わず、今、わたしは再び大阪に戻って来ている。   
   
 わたしは、幾つもの刺激とヒントを得て、新しい音楽作品を完成させつつある。それはシンフォニーという成果としてまとまりそうだ。   
   
 第1楽章は、日本の、自然豊かな山岳地帯と雲海、その神秘的な夜明けの姿などを模して始まる(朝日が昇るのをこちらの人たちはわざわざ「ご来光」などと呼ぶそうだよ)。わたしがその様子に接したときには、山伏(やまぶし)が吹き鳴らすと言われる「ほら貝」の音が聞こえるような、そんな錯覚を覚えた。それで、音楽の中にはその「ほら貝」の音を加えることを思いついた。イマジネーションはさらに膨らみ、音楽はやがて、日本の古き時代の、勇壮な武将たちの登場・名乗り、また、人馬の行き交う合戦などを描くことにもなった。わたしは興奮して一気に音楽を書き上げた。   
   
 第2楽章はわりとスラスラと書くことが出来たのだが、冒頭をどうするかだけは決めあぐねていた。  
 東京の街を夕暮れ時に歩いていたときのことだ、ラッパを吹きながら豆腐を売り歩く人を見つけた。そのラッパが奏でるあまりにも短いメロディと音程を少し変えてみると、わたしの作品の第2楽章の冒頭にしっくり馴染むことに気づいたのだ。しかも、わたしが思いついた音程と楽器選択によって、東京の夕闇が迫るなかで聞こえてきた、寺の鐘の荘厳な音を相応以上に表現可能となる。わたしは、金管楽器に打楽器を重ねて、寺の鐘が打たれる様子をも表現することとしたのである。おお、日本という国は、何と素晴らしいヒントとインスピレーションをわたしに与えてくれることか。   
   
 第3楽章では、日本の幾つかの祭りが持つ躍動を描くことにした。岸和田のだんじりがメインのヒントになっているが、博多山笠、その他の祭りにおける山車(だし)や神輿(みこし)からもインスピレーションを受けている。山車が登場し、街を進む。勢いよく進む山車は、道路のカーブ・曲がり角だって猛然と突き進む。躍動、リズム、感興・・・あれらの祭りをわたしは音楽で描ききれたかどうか少し心許ないけれども、しかし、一応の満足はしているのだ。   
 或る祭りを見物した夕刻のこと、チャルメラと呼ばれるラッパを吹き鳴らしてラーメンのような食べものを売り歩いている屋台に遭遇した。そのメロディが面白かったので、少し改変したうえわたしの作品中に加えることにした。   
   
 日本では、奇跡的なことに蒸気機関車に乗る機会をも得た。それを走らせるイベントがたまたまあったのだ。   
 あの動輪と、それと結ばれている金属の棒の動きは、いつ目にしてもわたしを興奮させてくれる。だから、第4楽章ではその動きや、そして蒸気機関車の走りを描くことから始めた。   
   
 もう少しこの手紙を続けたいところだが、今夜はこれからテレビ番組で時代劇を見たいと思っているからここまでにしておこう。日本の江戸時代には「籠(かご)」と呼ばれる移動手段・交通手段があったようだ。運ばれる人はその籠の中に乗り込み、すると2人の人間が籠をかついで進む。その、かついで歩く・走るリズムもまた音楽作品に取り入れられそうな予感がしているのだ。ところで、日本には「相撲(すもう)」と呼ばれる独特のレスリング競技があるのを君は知っているかい? わたしは相撲部屋の稽古を見学する機会も得た。彼らは腰を落として歩く、「すり足」と呼ばれる動きをして鍛錬をしているのだが、その歩みの持つリズムもまた面白いものだ。    
 それらのリズムを第2楽章のどこかに取り入れることが出来やせぬかと思案しているのだが、さて上手く出来るかどうか、ちょっとワクワクしている。   
   
   
 今、窓の外には大阪の通天閣が見えている。   
 このあたりの地は「新世界」と呼ばれているらしい。ここで音楽を書き上げることが出来たなら、それを記念して、わたしは自分のシンフォニーに「新世界から」という副題を付けようかと思っているのだよ。   
   
   
   」   
   
   
   
 ・・・と、以上は架空の手紙であった。   
    

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