2017-06

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セル指揮チェコ・フィルのドヴォルザーク第8番(ライヴ)



   
  "audite" レーベルからリリースされたルツェルン音楽祭におけるセルのCDについては、チェコ・フィルを指揮してのドヴォルザーク/交響曲第8番をまず聴いたところ。   
   
 基本的に、曲/作品を、慈しみをもって丁寧に扱おうとする雰囲気が感じられ、かつまた、端正さを保持した演奏スタイルとなっていよう。しかし、それは、演奏が穏やかで地味な、メリハリにも乏しいトーンで終始するなどという意味でないこと勿論である。みずみずしい生命感、歌、曲の流れ、流麗さ、洗練、ダイナミズム、そして奔流のようなドヴォルザーク風パッションとその表情、その他の諸々が、コンサート/実演に於けるセルらしい、そして、この指揮者がドヴォルザーク作品に接するときならではの筆致・スタイルでしっかりと表現されている。EMIその他に残るセッション・レコーディングに優る魅力を感じ取るセル・ファンも少なくなかろうと思う・・・筆者は、たとえばベルリン・フィルとのR.シュトラウス/「ドン・ファン」、シューマン/交響曲第2番などのライヴ録音( "Testament" レーベルのCD)と同程度に大切にしたい演奏記録であると感じた。ただ、ドヴォルザーク風のエキゾチズム・朴訥さ・温度感などについての嗜好・こだわりは人それぞれなので、そのあたりを中心に、評価・感じ方はどうしても分かれるかなとも同時に思う。  
   
 曲中のそれぞれの個所でのテンポの選択・変化に関してだけは、少し戸惑うこともありはした。   
   
 「ヒストリカルもの」もそこそこ以上には聴いているがゆえ音質にはどうも「こだわり・追求」が甘くなっており、また、最近はかなり音楽鑑賞する時間が減ってしまっている筆者にしてみると、今回の新譜のこのドヴォルザーク作品については一応以上、いや十分に「良好な音質」と感じられるものであった。   
   
 各楽器の音色はチェコ・フィルらしい豊かさを持ち、また、随所で、(主役でない)脇役を務める楽器やパートの聞こえ方(主役との音量バランスなど)もなかなかに素晴らしく、たいへん心地よく音楽に浸ることとなった。
   
   
 従来、この曲をセルの正規セッション・レコーディングのもので聴くと時間の経過は速くて、ふと気づけば音楽は「コガネムシ、蔵を建つるの段」にさしかかっているというあんばいであったのだが、このチェコ・フィルとの演奏では時はゆっくりめに過ぎていくし、魅了されている時間は少し長めに感じられる(実際の演奏時間も若干長めのようではあるが)。  
  
  
 筆者にとって、ティンパニのパートについつい注意が向き過ぎてしまう曲がドヴォルザークには幾つかある(譜面上でのこと、つまり、打たれる位置、刻まれるリズムのほかに、それぞれが演奏上でどのような力感・パンチ・表情で打たれるか等)。これはこの作品についても当てはまる・・・この演奏でのティンパニの活躍ぶりも良いように思う。   
 録音上のダイナミック・レンジのせいか分からないが、セルらしき激しさ・力強さ・思い切りの良さもよく堪能できる演奏内容である(しかし、演奏の精度は粗くない)。この点もまた、ティンパニの活躍ともども、筆者を興奮させるものがある。   
   
 テンポの話に戻るが、第4楽章の、それこそ最後の最後の個所が「これは幾ら何でも速過ぎる」と思えたが、もう一度この楽章だけを聴き直したら「コンサートにあっては、これくらいで良いかな」という感想に変わった。聴衆は大いにウケている。   
   
 ブラームスのほうはまだ聴いていない。   
   

コメント

コメントをありがとうございました

 ドヴォルザークのほうですが・・・冒頭では個性的な渋み要素も感じ、そこに、いくばくか東洋的なものすら感じてしまいました。この曲ではセルの、CBSソニーの13ACナンバーのもののジャケット写真も記憶にとどまっていますが、(セル指揮のものに限らず)この曲を聴くとあれとは違うものばかりが思い浮かびます。   
   
 フィルクシュニーさんとセルとのコンビのものでは、ザルツブルクでのモーツァルトやベートーヴェンも、録音状況にあとちょっと残念なところがあったように記憶します(オルフェオ・レーベル)。某CD-R盤でのドヴォルザークでは分厚い「どんちょう」越しの実況録音みたいな音質のがありましたね。フィルクシュニー/セル/クリーヴランド管によるドヴォルザークの正規レコーディングは United Archives レーベルから板起こしCD化が果たされました。  
   
 今回のこのCDのブラームスですが、それを聴く直前にセル/クリーヴランド管によるワーグナーのマイスタージンガー前奏曲、タンホイザー序曲など聴いたせいか、このブラームス演奏でのオーケストラの機動性・機敏性などに少々不満を覚えました・・・しかし、これは気のせいかも知れません。音質について言えばドヴォルザークのものに劣りますね。あらためて聴きなおすつもりでいます。   

買つてきました。聴きました。東京ライブのCDと双璧をなすvery touchedでした。出だしから、いや参りました、胸に迫つて・・・・。
しかし、フィルクシュニーさんのはうは、あれですよ、あのCD-Rです。あの音です。どうして両方を残しておいてくれなかつたのでせう。
ブラームスのはうは、私もこれからです。

コメントをありがとうございました

 贔屓に過ぎる評になってしまったかも知れませんが、しかし、このドヴォルザークもわたくしは気に入りました。   
   
 レコ芸には、何というタイトルのコーナーでしたか覚えていませんが、その後半には色つきページで外盤を批評するコーナーがありますね。コレクター・ヒストリカル関係の項も設けられていますが、11月号あたりでこのディスクをどなたかが紹介なさるかなとも期待し、その内容をちょっと楽しみにしています。   
   
 セル/クリーヴランド管のコンサート・ライヴは地元放送局が収録・放送をし、その一部は同オケ自主制作盤でリリースされたり、また、エアチェック音源がCD-R盤で出回ったりしていますね。広く聴かれて欲しい演奏が数々あります・・・オケに近い関係者などによって、著作権等の調整を要するものについてはそれもきちんと済まされたうえ、セル/クリーヴランド管のライヴ、残存リハーサル音源などを集大成したものが、誰もが手を伸ばしやすいお手頃価格セットまたは分売シリーズなどでリリースされることを夢みています。

ご無沙汰しています。

このディスク、注文してありますが抱き合わせオーダーのため、まだ届いていません。よさそうですね。楽しみです。
セルのライヴでは、クリーヴランドとの非正規盤をいくつか聴きましたが、ああいうのが「正規」で出てくることはあるのでしょうか?期待していますが・・・。

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