2017-08

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54年は54年前・・・

   
 セルの録音は出続ける。なんてったって今年はセル生誕111周年と、変に喜ばしい(笑)   
   
   
 今から54年前の1954年にセルがメトロポリタン歌劇場で指揮した「タンホイザー」のライヴ録音がCDで登場するとのこと。   
   
   
   http://www.hmv.co.jp/product/detail/2784519   
   
   
 セルがメトで指揮した「タンホイザー」のライヴ録音としては、これまで1942年のものが出ていた(歌手はメルヒオールほか)。   
 今回新たに登場するのは1954年のものという。メトにおける1953年12月からの「タンホイザー」公演はセルが指揮をとったが、このCDの内容は、具体的には翌年1月9日の模様であろうか。ともかく、その1月9日までの歌手配役は今回CDにあるが如きだった。   
   
 その後においては配役変更があった。が、その配役変更はメトの支配人ビングがセルの承認を得ずに進めてしまったらしく、それがもとでセルとビングは大きく衝突し、さらにはセルはメトで振るのをやめてしまった。ちなみに、1月14日の配役ではアストリッド・ヴァルナイがヴェーヌス役からエリーザベト役へと変更になったようであるし、そのほか、タンホイザー役はチャールズ・クルマン、ヴォルフラムはヨゼフ・メッテルニヒ、ヴェーヌスはレジーナ・レズニックだったようだ。   
   
 それにしてもビングはどうして、たとえやむを得ぬ事情に迫られていたとしても、こういう大事なことをセルのOKを取りつけずに進めてしまったのだろう。   
   
 また、配役変更ともなれば、やはり個別レッスンや「通し」でのリハーサルは必要になると想像するが、これに伴うスケジュール確保はどの程度まで可能だったろう?   
 1954年1月4日にセルはニューヨーク・フィルハーモニックを振ってワーグナー序曲集のようなものをレコーディングした。また、1月13日にセルはシゲティとバッハの協奏曲を、また15日にはやはりシゲティとタルティーニの協奏曲をレコーディングしており、その事前練習なども考えればセルのスケジュールも詰まっていたろうと推測してしまうが、どうだったろう。承認していない配役変更もセルにはカチンと来たかも知れぬが、歌手との意思疎通不足という事態を指揮者が嫌わないわけあるまい。   
 なお、吉田秀和氏はその著書で、(その本はいまこれを書いている筆者の手近にないので記憶にもとづき大まかに書くと)アメリカでセル/ニューヨーク・フィルハーモニックのニューイヤーコンサートっぽいものにてワーグナー序曲ばかりを並べたプログラムを聞かされて云々とか、また、セルとの関係で取り込み中にあったにもかかわらずメトのビング支配人は会ってくれたみたいなことを書いているが、吉田氏のこの体験は1954年新年あたりのことではあるまいかと思える。   
   
   
 ともかく・・・このCDの歌手の顔ぶれからすると1月14日公演のものではないようだし、とすれば、舞台上の歌手についてセルの意思・意図・コントロールは一定以上にしっかり及んだ上演・演奏内容であると想像する。楽しみな商品である(今どきの商品としては、ちと値段が高い感もあるが)。   
   
   

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