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エピソード
まずはグーグルのブック検索( http://books.google.com/books?hl=ja )で、 "Can't Help Singing: The Life of Eileen Farrell" というタイトルの本を探してみよう・・・。これは、ソプラノ歌手アイリーン・ファーレルの著書。
ブラウザ上でこの本のページへ移動できたら、画面右下の検索ボックスに "szell" と打ち込んで検索をかけると同書の88ページなどが検索結果に現われることだろう。それをクリックして88ページ、そしてさらに次の89ページへ読み進むと面白いエピソードが・・・。
或る音楽祭/コンサートの終了後のパーティの席で、酔ったオーマンディはジョークを連発していたようなのだが・・・やがてファーレルに向かってこう言った:「あなた、体重どれくらい?」
これは、やっぱ、いかんだろうなあ。
が、しかし、ファーレルも切り返した・・・(具体的には検索結果の「本」のほうを)。
このあとセルについても語られている。それはセル/クリーヴランド管とのヴェルディ/「レクイエム」のリハーサルの日のこと。
セル/クリーヴランド管はこの曲を何度かコンサートにかけている。たとえば1957年のコンサートでは歌手の顔ぶれはアイリーン・ファーレル、ネル・ランキン、リチャード・タッカー、ニコラ・モスコーナだったようだ。ファーレル自身がこの本で語っている歌手の顔ぶれではモスコーナのかわりにジョージ・ロンドンの名があがっていて上と食い違いがあるのだが、これはファーレルの記憶違いかも知れないし、あるいは上とは別のときのリハーサル模様なのかも知れない。しかし、いずれにせよ、セルをめぐる記憶までは間違っていないだろう・・・。
リハーサルにおいてファーレルはセルの言葉と態度に激怒してしまった(具体的な経緯については検索結果の「本」のほうを)・・・彼女はそのあと、昼食の約束をしていた友人ビバリー・シルズの家へと向かった。
シルズの側は、子供たちにこんなふうに言い聞かせて世話を焼いたりしていた:「お昼に立派な婦人がやって来るのよ。あなたたちもきちんとしたお洋服で支度しなくちゃね、それから、お行儀よくしてないといけませんよ」。
そしてシルズらは揃って家の前でお出迎え。そこにファーレルの乗ったタクシーが到着するわけだが、タクシーに乗っているうちに彼女の頭の中はもうすっかり怒りで一杯になっていた・・・。
タクシーを降りるなり発したファーレルの言葉、そして動作、また、それを目にしてしまった子供たちの様子などを想像すると、コミカルなドラマの一場面のようで面白い。
このセルとの件では、セルの言葉に対してファーレルが発した言葉のほうがむしろ適切でなかったように思えぬでもない。しかし・・・セルの声質(金切り声っぽかったりも)や、射抜くような目つきとともに勝ち誇ったような表情で言葉を発していたかも知れない様子などを想像すると、ファーレルとしてもカチンと来てしまうところがあったのかなと思ってしまう。
追記(25日):
ブログをお読みいただいた方から(学生さん?)、上の「・・・タクシーに乗っているうちに彼女の頭の中はもうすっかり怒りで一杯になっていた・・・」の個所につきまして、なぜそういう訳・解釈になるかとのお尋ねをいただきましたが、次のように説明させていただきます:
まず基本的に、著作権・翻訳権の問題がありますので「ピタリ寄り添うような翻訳」をあえて避けております。また、せっかく書籍が表示されるのですから、ちらとでも「いっそ本を買っちまおうか」と思った人のその気持ちを殺いでしまうような手取り足取りの翻訳を控えています(笑)
さて・・・。 "steam" は「プンプンの怒り・憤怒」くらいの意味ととらえました。 "good" は「ハンパじゃない、かなりの」くらいの感覚ととらえました。それから、 to 不定詞は、今日のカリキュラムではどのような用語で教えられているかまったく分かりませんが、結果を表す不定詞であるものととらえました。お示しいただいた訳案とまったく逆の訳となりますが、ファーレルがタクシーのドアを乱暴に閉めながら「くそったれがっ!」と口走り、そのあともセルのことを思い出しつつ悪態をついたことなど考え合わせますと、わたくしとしては、現在のところやはり上のような解釈を採らせていただきます。もちろん、ネイティヴではございませんしプロの翻訳家でもありませんので、「上の解釈をもって絶対の正解」と頑張って主張するつもりはございません。
いずれにしましても、問合せ・コメントいただきましたことには感謝申し上げます。
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