2018-07

Latest Entries

「巧言冷食、すくなし仁」


   
 或る人の、のたまわく、「巧言冷食、すくなし仁」。   
   
 (↑)解釈: 「お帰りなさーい、お疲れさまでしたぁ・・・今夜の夕食はあなたの好物の鶏の唐揚げとシューマイよ!」と、うまい言葉を発するも、しかし、それらはいずれも冷食(冷凍食品)をチンしただけのもので、このようなものを食卓に並べるとは真心に欠ける者のすることである。   
   
 ・・・と、まあ、そんな奥さんが世の中にどれくらい居るのか知らぬが。ただ、揚げ物をカラッと、というか、食感よく仕上げるためのコツ幾つかのうちの只のひとつも心得ていない人の揚げるものを食べさせられるくらいなら、冷凍モノの唐揚げのほうが優れているということは言えるのかも知れない。   
   
   
 ・・・・・・・・   
   
   
 年が明けてちょっとした頃のこと・・・。   
 知人のAさんがスマホ内に保存された写真を見せてくれた。   
   
 「うちの娘・・・正月に帰省したときの写真・・・今年、大学を卒業して○○社に就職することになりまして」   
   
 たいへん嬉しそうであった。こちらも「あれ、べっぴんさんなんだね」と、少し古めかしい言葉をかけた・・・ここで、冗談でも「お父さんにあまり似なくて良かったね」などと言ってはいけない・・・ま、仮に言ってもAさんはむしろ笑いこけるであろうけど。   
   
 「実物はねえ、運動ばっかりやってたから色が黒い。勉強なんてろくにしてないんじゃないかな」   
   
 この「実物はねえ」というのは、「実際はねえ」という言い方をするほうが適当ではないかと思えたが、そこがまたAさんらしくてよいなあ。ま、それよりも、あれからもう何年も経っているのだなと、月日の過ぎることの速さを思った。   
   
 この娘さんと面識は無い。彼女はまだ高校生の頃に「将来は介護の仕事か、さもなければ保育の仕事に就きたい」との希望を持っていた。父親であるAさんが「そういう進路選択でよいのだろうか」と迷いを持ち、それについて筆者とも話を交わすことがあった。そのとき筆者は、それら職種の処遇などを懸念し(それはまた本人が「将来」において後悔するやも知れないとの懸念もあり)、反対意見を口にした。結局、彼女はAさんの説得に耳を傾け、でも自分の信じる/思うところもあって、或る地方大学の、ちょっとありきたりでない学部(しかし介護・保育などとは無関係)に進学した。筆者は漠然と「卒業を迎えるまでに、いや、就職活動をするようになる時期までに、日本が力強く景気回復するといいのにな」と思った・・・筆者の子供ではないけれども、しかし自分の発言が間接的にでも影響したかも知れぬことのその展開・行く末に恐れを覚えたのだ。   
   
   
 就職氷河期の頃、大学生の子供を持つ親から「どこの会社を狙うべきか/どこか穴場はないか」と話しかけられることが何度かあり、筆者は、たとえば某大手企業の有力子会社を幾つかとか、ほか、「生え抜き職員が出世させてもらえる可能性はほぼ無かろうけど、一部の人しか知らない或る団体・組織」などの名前を挙げることがあった。前者は、子会社とはいえそれなりに定評あるところなのであるが、筆者自身、いろいろな企業のグループ経営戦略などを研究している中で再認識させられた魅力的な企業などだった。また、後者の団体・組織は(いずれも就活学生もその親も注目しそうになく、そればかりか、中には、残念ながら一部の公務員やその家族を除けばろくに知られていないのではないかと想像されるところもある)、勤める最初からもう出世に限界点がつけられてしまうとはいえ、「とりあえず正規労働の安定した職」、「理不尽に解雇される危険性が小さい、安定した身分」を手に入れられることにメリットがあり(就職氷河期というものも一種の世代のリスクであり、そこでは妥協と見極めも大事だ)、しかし、仕事としてはかなり暇であることが想像されるがゆえ、もしもオフタイムに資格試験の勉強をする等の心づもりがあるならば自らのキャリアアップを図って転職・独立につなげていくことも十分に可能ではないかと思えたのである。   
 ま、でも、筆者の考えることって、他の人たちとはかなり異なるからなあ・・・上のようなアイデアは聞き入れてくれなかった・・・しかし、その結果、ご子息たちの今は芳しくないことになっている。これまた随分と前のこと、或る人から「息子は銀行を目指すらしい、メガバンクって、どこが一番いいんだろ?」と訊かれたことがあって、「銀行のことは分からないからなあ・・・もしも自分なら農林中金を目指したい。あと、業界は異なるけどリース会社に面白そうなところがあるよ、・・・とか」と言ったら「それは何?」という顔をされることがあったな。   
   
   
 さて・・・冒頭の娘さんであるが、彼女が今、この春からの進路をどう感じているかを知らないが、希望に燃えていることを祈るばかりである。就職する予定の○○社は、「女性が活躍できる会社ランキング」とか「女性が働きやすい会社ランキング」などにはおそらく登場しないところではあるが、全体的によろしいイメージを筆者は持っているし、何より成長力が予見され、活気に満ちた企業と映る。いま、もしも自分が若くて、これから就職活動する身ならちょっと羨ましく思うかも知れない・・・でも、自分の場合、「配属は事務系と約束していただけますか?」とこだわるであろうから、ああいう会社では合格・内定などいただけないであろうなあ。   
   
   
 ここでまたランダムにあれこれと思いを巡らしてしまうことがあるのだ。   
   
 介護の職、保育の職の処遇については、かつて筆者が考えた状況とは違って改善が進む動きが見越される。それがどの程度のものになっていくかは不明ではあるが、しかし、それを見る彼女がいつの日か「やっぱり、最初に自分が考えた道を進めばよかった」と悔やむ日が来たりせぬか。   
 と同時にまた、介護ニーズはまだまだ増大していくものとは思うのだが、保育士ほか保育関連の人材ニーズがいつまで伸び続けるかという点に筆者はやはり疑問を持ちもする。出生率・出生数が伸びず、いや、結局は減り続けるのであれば、いま考えられているような保育所の設置増や保育士の確保努力・処遇改善ということが最終的には誤りだったと言われる日が訪れることもあったりするのではないか。子供の数が減っていくばかりであるならば、保育士を終身雇用・長期雇用することは雇用サイドの重荷になりかねない(それは国民・自治体住民の、税などを通じての余計な負担ともなりうるか)。諸制度・社会情勢のあり方がどう変わっていくか占いにくいが、状況によっては、「日本の財政負担を伴いつつ日本人の保育士が面倒をみる対象は中国人をはじめとする移民の乳幼児たちがメインに」的なパターンにもなりかねないか。それでもよいのか等、筆者は憂うのだ。   
   
 日本人の子供の数が減り続けるならば、いずれ学校の先生も余るであろう。保育士もまたそれと同じことになるのでないかという気もするのだ・・・とするならば、冒頭の彼女にはやはり、過去に思い描いたことをきれいに忘れ去ってもらって、今春からの新しい人生を精一杯がんばって、そして弾み続けて欲しく思う。   
   
   
 それにつけても、子供の数が減るというのは、今後いろいろと劇的なことに至りうるであろうなあ。   
 今や自治体職員の採用試験(公務員試験)で合格しても3割とか6割とかが辞退したりもする時代になっているが、これは、ま、市区町村役場でなく都道府県庁の職員の場合に「親元で暮らせない任地になるかも知れない」、「希望する土地に暮らして通勤できないかも知れない」との考えから来る結果だったりもしよう。東京都職員採用試験に合格しても「ん、待てよ、勤務地が伊豆諸島になる可能性もあるのだろうか・・・念のため再確認しよう」と不安になって、でも、いまの若い人たちにとって電話で大人と会話することは「怖い」ことだったりするから、そのくらいなら既に内定をもらっている民間企業に就職するほうを選ぶかも知れぬか。   
   
 「子供たちはスポーツであれ、音楽であれ、その他の部活・習い事であれ、一生懸命になりすぎてはいけない。それらについての才能など、大抵の人には備わっていないのだ。手堅くきちんと勉強し、そして、アカ学生の真似をして政治に関心を寄せたりせず、宗教に関わることもせず、堅実な人生を歩むべし」というのが、筆者が若い人に寄せる思いである。でも、子供の数が減っていく時代になると、「勉強していようと、そうでなかろうと、どこでもわりと簡単に採用してくれるもんね」という時代がやって来るのかなあ・・・いずれ求人広告で「財務省、上級職員の欠員募集!」、「外務省、欠員を至急募集! 語学力不問、国内限定勤務OK」、「警察庁、幹部募集、前科3犯まで可」、「自衛隊員急募、万一の有事の際も休暇取得OK!」みたいなものも出て来たりする?   
   

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://szelldocs.blog9.fc2.com/tb.php/1140-dfd27482

«  | HOME |  »

MONTHLY

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

クラシカルな某

クラシカルな某

クラシック音楽好きです。